哲学者=山崎行太郎ブログ『毒蛇山荘日記』

哲学者、文芸評論家。慶應義塾大学大学院(哲学)修了。元・東工大講師、元・埼玉大学講師。著書=『小林秀雄とベルグソン』『小説三島由紀夫事件』『それでも私は小沢一郎を断固支持する』『保守論壇亡国論』など。『マルクスとエンゲルス』を「月刊日本」に連載中。近刊予定に『ネット右翼亡国論』『佐藤優対談集』『柄谷行人とヘーゲルとマルクス』など。緊急連絡(レポート)は、メールフォームからお願いします。➡︎https://ws.formzu.net/fgen/S49964599

「大衆の原像」とは何かー桜井誠と吉本隆明とドストエフスキー。 吉本隆明の思想の一つに「大衆の原像」という思想があるが、私は、桜井誠について考える時、この「大衆の原像」ということを考えざるを得ない。つまり、ヘイトスピーチだとか排外主義だとか、激しく批判され、冷笑されながらも、桜井誠と桜井誠の思想は、しぶとく生きのびるどころか、かえって支持を拡大しているかに見えるが、その根拠は、この「「大衆の原像」にかかわっており、言い換えれば、それは、桜井誠の背後には、無数の大衆がおり、その「大衆の支持」があるー(続く)


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「大衆の原像」とは何か。桜井誠吉本隆明ドストエフスキー

吉本隆明の思想の一つに「大衆の原像」という思想があるが、私は、桜井誠について考える時、この「大衆の原像」ということを考えざるを得ない。つまり、ヘイトスピーチだとか排外主義だとか、激しく批判され、冷笑されながらも、桜井誠桜井誠の思想は、しぶとく生きのびるどころか、かえって支持を拡大しているかに見えるが、その根拠は、この「「大衆の原像」にかかわっており、言い換えれば、それは、桜井誠の背後には、無数の大衆がおり、その「大衆の支持」があるかららだろうと、私は考える。つまり「東京のインテリ」たちが、どれだけ批判、罵倒しようとも、物言わぬ、名もなき大衆が、桜井誠桜井誠の思想を支持している可能性が高い。


 桜井誠の思想は、市民社会的倫理感覚からいえば、明らかにヘイトスピーチであり、法律その他で取り締まり、社会から排除するべきものかもしれない。しかし、それで問題は解決するだろうか。私は解決しないと思う。解決するのは、健全な法律や市民社会的倫理観だけであろう。多くの人にとって、それだけで充分かもしれない。
しかし、ここに、人間の深層心理に根ざす「思想的問題」が残る。思想的問題は、しばしば市民社会の健全な倫理や道徳、法・・・というものと対立するものだ。文学や芸術や宗教は、そこに成立する。
たとえば、ドストエフスキーの文学は、明らかに、市民社会の倫理観や道徳、法的なものと矛盾する。『罪と罰』では、殺人犯ラスコーリニコフを、市民社会の視点からではなく、思想的問題の視点から、誤解を恐れずに言えば、「肯定的」に描いている。
ドストエフスキーは、デカブリストの妻フォン=ヴィージナ宛の手紙で、こう言っている。

《キリストよりも美しく、深く、同情のある、理性的な、雄々しい、完璧なものは何一つない。もし誰かが私に向かって、キリストは真理の外にあることを証明し、また実際に真理がキリストの外にあったとしても、私はむしろ真理よりも、キリストとともにあることを望む。》
 
 これはドストエフスキーの有名な信仰告白の言葉だが、信仰の問題は別としても、とても深い思想的問題を提起している。
 真理とキリスト。ここでいう真理とは、市民社会の真理、
つまり科学的真理だろう。逆に、真理ではきないかもしれないキリストとは何か。そして「真理よりもキリストとともにいたい」というドストエフスキーの言葉は、何を意味するか。
 ドストエフスキーは、殺人犯ラスコーリニコフを、市民社会的価値観からは批判するが、しかし、思想的問題としては、密かに擁護してていると言うこともできる。そこに、ドストエフスキーの『罪と罰』は成立している。
 さて、私が、ここで取り上げるのは、ドストエフスキーの『悪霊』という長編小説である。この『悪霊』に登場するシャートフという青年である。
 私は、今は、主人公のスタブローギンやピョートル、キリーロフよりも、このシャートフという青年に、興味がある。
シャートフは、革命の秘密結社の五人組によって、裏切り者として殺されるのだが、彼の革命批判、あるいは文化人批判、知識人批判はおもしろい。

《民衆をもたぬ者は、神をももつことがない! 自国の民衆を理解することをやめて、民衆との結びつきを失った者は、即座に、それに応じて、国民的な信仰を失うし、無神論者になるか、無関心派になるしかない。》

《あなたが無神論者なのは、あなたが坊ちゃんだからです。最低の坊ちゃんだからです。あなたが善悪のけじめを失ったのは、自国の民衆を理解することをやめたからです。民衆の心のただなかから新しい世代が生まれてきているのに、それはあなたにも、ヴェルホーヴェンスキー父子にも、ぼくにも見分けられない。というのは、ぼく自身、坊ちゃんだからです。お宅の農奴の下男パーシカの息子であるぼくも・・・・・・いいですか、労働によって神を手に入れるのです。本質のすべてはむここにあります。さもないとあなたは、醜い黴のように消えてしまいますよ。労働で手に入れるのです。》


《いかなる国民もいまだかつて科学と理性に基づいて存在した試しははない。ほんの一時的に、ばかげた気の迷いでそうなったのを別にすれば、そんな実例は一度としてなかった。社会主義は、まず開口一番、それが無神論的な制度であって、科学と理性のみに基づいて存立するものであることを宣言しているからだ。科学と理性は諸国民の生活においてはつねに、現在も、また天地開闢以来、たんに第二義的な、副次的な役割を果たしてきたにすぎない。世界の終末の日までこのことは変わらないだろう。諸国民を組織し、動かしているのは、命令的で支配的な別の力であるが、この力の起源は不明であり、説明不可能である。この力はあくことなく究極に到達しようとする願望の力であると同時に、この究極を否定する力である。》(『悪霊』) 


ドストエフスキーは、何を言おうとしているのだろうか。ドストエフスキーは、ここで、吉本隆明の「大衆の原像」論とほとんど同じ思想を、あるいは、まったく同じものではないかもしれないが、限りなく似たような思想を、言っているのではなかろうか。



(続く)





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