哲学者=山崎行太郎のBlog『毒蛇山荘日記』

哲学者、文芸評論家。慶應義塾大学大学院(哲学)修了。元・東工大講師、元・埼玉大学講師。著書=『小林秀雄とベルグソン』『小説三島由紀夫事件』『それでも私は小沢一郎を断固支持する』『保守論壇亡国論』『ネット右翼亡国論』など。『マルクスとエンゲルス』を「月刊日本」に連載中。近刊予定に『佐藤優対談集』『柄谷行人とヘーゲルとマルクス』など。緊急連絡(レポート)は、メールフォームからお願いします。➡︎https://ws.formzu.net/fgen/S49964599

流体力学に「科学革命」は起きるのか?元琉球大学教授=永井実先生の画期的な論文「古典流体力学の歴史的誤りについて」を読む。(下へ続く。続きを読みたい人は、ここをクリック。)


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流体力学に「科学革命」は起きるのか?元琉球大学教授=永井実先生の画期的な論文「古典流体力学の歴史的誤りについて」を読む。


======以下引用======

古典流体力学の歴史的誤りについて
永井 獏*1
On the historical misunderstandings of classic fluid dynamics
Baku M. NAGAI*1

1 Okinawa Peace Club

Okuma 65-2, Nakagusuku, Okinawa 903-2412, Japan

Received 31 March 2015

Abstract
Since The Year 2002, the authors have pointed out the historical misunderstandings of classic fluid dynamics and of vortex flow theory. Today, the discovery has been recognized almost all over the world especially among the specialists and authorities in this academic field. However, in spite of the crucial importance of the problem, the author’s discovery has not yet been officially accepted as a true. In the paper, author attempts to introduce again the basic theory of fluid dynamics, the flow around a vortex pair and the superimposing of a uniform flow on the vortex pair.
Key words :​Fluid Dynamics Theory, Vortex Flow, Historical Misunderstandings

1. はじめに
著者らは,2002年以来,古典流体力学/渦理論に歴史的な誤りがあったと指摘し,多くの国際会議でそれを訴えてきた.著者らの指摘はほぼ世界中の専門家,権威者の間に知れ渡り,今日ではそれを知らないものの方が少数とさえ言える状況になった.しかし,残念なことに,著者らの指摘は,その科学的な重要性にも関わらず,未だ学会の公的な支持,認知を得るには至っていない.
本論文では, 改めて基礎流体力学理論, 渦対周りの流れ, および古典流体力学の歴史的誤りの源泉について考察する.

2. 静止渦対周りの流れ
 古典流体力学理論によれば, 静止した一対の渦対によって引き起こされる流れの場は, 式⑴によって表現され,図1に示す流線図が得られる. 流れ場は当然定常流れである.

​⑴
 
 前提が「静止渦対」であるから当然, 無限遠方の誘起速度はゼロとなり, これは静止渦対周りの流れ場である.後に述べるように, このような流れ場は自然界・宇宙に多々存在すると言っても過言ではない.
 では何故, 古典流体力学は「静止渦対の存在を否定」するのだろうか. さらに言えば, 誰が考えても不思議な誤った命題「渦輪は自走する」/「静止渦輪はあり得ない」は何時まで永らえるのであろうか?

Fig.1 Streamlines around a stationary vortex pair
(X=1, -1, =1, U=0)

3.誤りの源泉
プラントル(L.Prandtl, 1875-1953)は、その著書(1)で, 渦糸の説明の後,「幾つかの渦糸がある場合には個々の速度場は重ね合わされ, 個々の渦糸は他の渦糸によって引き起こされる運動に加わる」と明記し,「一対の平行な渦糸の場合には,渦糸は渦糸が対応する強さに比例した力で置き換えられたときの合力の線に一致するような軸の周りを回転する. そして, 渦が同方向に回転している時には力は同方向であり, 逆方向のときは逆方向である」と説明している.
 さらに,「同じ強さの二つの渦が逆方向に回転しているとき(渦対という)には, 二つの渦対を結ぶ線に垂直な直線運動になり,その速度はΓ/2πdである. 渦対の流線は静止座標系で見ると図4.27のようになり,渦対とともに移動する座標系で見ると図4.28のようになる」と続く.プラントルの図4.27は、本稿の図1に等しい.
 図1の流れ場に,古典流体力学では普通に行われるように,一定強さの一様流U(=Γ/2πd)を加える(重ね合わせる)と図2が得られる.これはプラントル著書の図4.28に等しい.

Fig.2 Streamlines around a slowly moving vortex pair
(X=1, -1, =1, U= Ucri /4)
今や明らかなように,「個々の渦糸は他の渦糸によって引き起こされる運動に加わる」としたプラントルの「アプリオリ」な「思い込み」が, 流体力学の歴史に残る誤りの固定化に貢献してしまった, と著者は推察している.
日本の碩学友近晋(1903-1964)はその著書(2)で, 2次元流れ場に複数の渦糸が存在する場合は, 本稿式⑴で示したように,「(流れ場は)それらの関数を加えればよろしい」と正しく記述しながら, その後に,「渦糸が無限に長い流体内に唯一つ存在する場合にはこれは動かないが, 幾つか同時に存在する時には他のものに影響されて運動する」と記述し, プラントルと同じく「アプリオリ」な見解を示している. もちろん先輩プラントルの書にも学んだ上とは思われるが, その理由について友近は「一般に, 渦糸はその直裁断面が極めて小さいものであるから, 例えば空気中における塵埃の様な小さい物体がその点における空気と同じ速度で動くと考えて良いのと同様に, 他の渦糸によって該渦糸の場所に誘導される速度を以て動くと考えて良い」と述べている.
渦の強さに関係なく「渦は極めてタイニーであるから, 他の全ての渦に命じられるままに動く」と言う「思い込み」には, 力学の初歩原理, すなわち慣性の法則, f=ma, 作用反作用の法則, さらには運動の「相対性原理」まで欠落していると指摘せざるを得ない.
時代を代表する天才碩学にしてこのようだから, この人の世に「思い込み」ほど恐いものはない. かく言う著者も, 研究職に従事して以来この誤りに気付くのに30年を要したことを, 正直に告白する.

4.静止渦対の実在例
さて, 著者はその研究活動の取りまとめの一つとして, 若い学徒に向けた啓発書「イルカに学ぶ流体力学」を1999年に上梓しているが, 計らずもその中に, 自然界に存在する静止渦対の一例を見ることができた.
 図3に「飛行場を飛び立って大空を巡行する飛行機」によって生み出される各種渦を示す(3). 図によって, 飛行場に残される出発渦, 飛行機の翼自身である束縛渦, そして翼の両端から後流へ掃き出される自由渦は, 全体として一つの巨大な渦輪を形成していることを著者は指摘し, 飛行機のジェット燃料は結局この巨大渦輪を生成するために消費されると記述した. また自由渦は飛行機雲によって可視化されると述べたが. 後になって, この自由渦こそ一対の静止渦対であることに気が付いたのである. 図4に, 写真愛好家による飛行機雲の一例を示す.

Fig. 3. Vortices generated by an airplane (3)

Fig.4 An example of stationary vortex pair (Photo. Nov. 10th, 2002 by Mr. Saizo Uchida)

Figure 5. Japanese weather forecast on August 24th, 2005

図5に, 2005年8月に発生した近接2台風の進路予想図を示す. 二つの台風は、共に反時計回りの渦流を伴っているからこれは渦対ではなく同方向回転渦のペアーである. 前述プラントルの著書によれば,この場合, 二つの渦は互いに相手を左に見る反時計方向の回転運動をしなければならない. しかし図より明らかなように,気象予報官はそのような知見を全く持っていないように見える.
熱帯性低気圧の相互干渉については有名な「藤原効果」がある. これは1941〜45年に第5代中央気象台長を努めた藤原咲平(1884-1950)によるもので, 藤原は近接する渦の相互干渉について精力的な研究を積み重ねている. 藤原は, あるいは本稿の主題について気付いていたのではないかと, 著者は思うのである.

5.おわりに
以上, 渦対の運動について改めて記述し, 歴史的な誤りの源泉, 静止渦対の実例を再考察した. さらに渦の相互干渉を研究した藤原咲平の業績にまで言及した.
一次と二次の世界大戦, 太平洋戦争という諸国の研究者にとっては極めて困難な時代に, 日本の流体力学研究の基礎を打ち立て, 最先端の研究に進んでいった, 藤原や友近晋ら先達の業績に接し. 改めてこの国から新しい流体力学研究の波を起こすべきではないかと決意する次第である.
願わくは本論文が日本機械学会論文集に採用され, 流体力学研究に新しい一歩が踏み出されることを, 切に願う.

参考文献
⑴ Prandtl, L., Führer durch die Strömungslehre, Friedr. Vieweg&Sohn, 1949, 72.
⑵ 友近晋、流體力學、共立出版、1940-6、219。
⑶ 永井實、イルカに学ぶ流体力学オーム社、1999-8、47。
[DOI: 10.1299/transjsme.2014xxx000x] © 2014 The Japan Society of Mechanical Engineers


======引用終り======



(続く)

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