哲学者=山崎行太郎ブログ『毒蛇山荘日記』

哲学者、文芸評論家。慶應義塾大学大学院(哲学)修了。元・東工大講師、元・埼玉大学講師。著書=『小林秀雄とベルグソン』『小説三島由紀夫事件』『それでも私は小沢一郎を断固支持する』『保守論壇亡国論』『ネット右翼亡国論』など。『マルクスとエンゲルス』を「月刊日本」に連載中。近刊予定に『佐藤優対談集』『柄谷行人とヘーゲルとマルクス』など。緊急連絡(レポート)は、メールフォームからお願いします。➡︎https://ws.formzu.net/fgen/S49964599

日琉同祖論から沖縄独立論へ。---(下へ続く。続きを読みたい人は、ここをクリック。)


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第291回 琉球フォーラム 6月定例会  2017年 6月14日

講演

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山崎 行太郎氏(哲学者・文芸評論家)
 こんにちは。山崎行太郎と申します。ただいま過分な、お褒めの言葉をいただきました。社長がおっしゃいましたように、集団自決論争、集団自決裁判があるまでは、皆さんには申し訳ないですけれども、私は沖縄問題に関してはあまり興味なかったんですね。それで、大江健三郎曽野綾子等を巻き込んだ集団自決裁判が起きまして、その前後から沖縄問題にちょっと興味を持つようになりました。
いろいろ調べているうちに、けっこうこれは日本国家にとって重大な問題をはらんでいるということが、だんだん分かってきました。そして、その途中で佐藤優さんと交流ができました。佐藤さんはお母さんが沖縄久米島のご出身ですよね。それで、佐藤さんは沖縄問題を自分の故郷の問題、出身地の問題としてとらえていると感じました。
 僕は九州は鹿児島、薩摩半島のド田舎に生まれたんですけれども、でもまあ、佐藤さんが言っていることは僕が感じていることとあまり変わらないということを感じ、興味を持ち始めました。
ちょっと話が脇に逸れますけれども、実は沖縄問題に関しては、僕の父親も、沖縄戦争に徴用され、南大東島というところですけれども、そこに出征しているというか、そこで沖縄戦に参加しているんですね。
僕自身は昭和22年生まれなんですけれども、父親南大東島から引き揚げて帰って来て、その後に僕は生まれていますので、沖縄問題というのはよく考えてみたら、僕の生誕の一番根っこにある問題だということが、だんだん分かってきまして、これは重大な問題だなと思ったんです。
もう一つは、僕は枕崎という所で生まれているんですけれども、沖縄戦がもし続いていたとすれば、沖縄の次にどこに米軍は上陸するだろうということで、本土決戦へ移って、沖縄戦の次は南九州に上陸するだろうと思われていました。たぶん、枕崎か熊本か、そこら辺のどこかに上陸するはずだと。僕が聞いた範囲では枕崎辺りに上陸するんではないかと言われていました。僕の生まれ育ったところが戦場になるはずだったわけです。
ところが、沖縄戦終戦を迎えたものですから、そういうことはなかったわけです。もし、枕崎辺りに上陸していたら、慶良間諸島の集団自決があったことと同じような状況が、たぶん起こったんだろうと思いました。「鉄の暴風」で書かれている集団自決の悲惨な状況というのは、僕の生まれ育った南九州の薩摩半島の枕崎辺りでも、十分起こり得た話だったなと思うんですね。
だから、沖縄問題というのは、今から考えてみると、僕にとっては、結構重大な問題であって、やり始めたら深入りし始めました。それで今日も、この話をするためにいろいろ調べてみたんですけれども、調べれば調べるほど大変な問題だということが分かってきました。


伊波普猷の政治的背景
それで、今日は「『日琉同祖論』から『沖縄独立論』へ」というタイトルを付けましたけれども、日琉同祖論というものが、いったいどういうものだったのかということを、ちょっと簡単に説明しようと思います。僕より皆さんの方が詳しくご存じかもしれないので、僕はその日琉同祖論の政治的背景という問題について言いたいと思います。
沖縄独立論ということに関しては既に、龍谷大学教授の松島泰勝さんが「琉球独立論」という立派な本を書きまして、今では広く浸透しているんですけれども、琉球独立論ではなくて、僕は沖縄独立論というのをやりたいと思っているんですよ。
どうしてかというと、独立はやっぱりこれは無理だろうと思うからです。しかし「無理ではあるけれども、独立論をもっと徹底して主張すべきである」というのが僕の持論なんです。
結論を先に言っちゃいます。沖縄問題、辺野古問題、普天間問題の解決の方向は、反対運動とかいろいろありますけれども、これでは結局、埒があかないと思います。
じゃあ、どこで解決の方向性を見出していくのかということに関して言うと、私は沖縄独立論というものを、沖縄県民というか、沖縄から湧き起こらせて、それを安倍の政権である日本政府にぶつけていく。安倍政権はたぶん、沖縄独立論とか、琉球独立論でもいいんですけれども、沖縄独立論というものを前提にしていない、頭の中に入っていないと思うんですよね。だから、もっとこれを具体的に出していけばいいと思うんですよ。
僕の考えとしては、沖縄独立論を安倍政権にぶつけて、安倍政権を追い込む。それで追い込んだうえで、適当に手を打つ。そうすると、やはり米軍は出て行ってもらうという方向へ進むのかなというふうに思っているんです。
日琉同祖論と沖縄独立論の二つを考える上で、沖縄の中で伊波普猷という人物が浮かび上がってきますね。伊波普猷は沖縄の人で、皆さんの方が、よくご存じだと思いますけれども、伊波普猷がいったいどういう学問的役割だけではなく、政治的役割を担っていたのかということを話すつもりです。
伊波普猷という人は、岩波文庫から「古琉球」という本が出ていまして、この中に面白いことがいっぱい書いてあるんです。その一つに、伊波普猷は中学時代にストライキ事件を起こして学校を追放されて、東京に遊学していくんですけれども、その遊学した先で中学を卒業し、高校受験に2~3回失敗しているんですね。それで、最終的には東大(旧東京帝國大学:現在の東京大学 以下、東大)の言語学科というところに入るんです。東大の言語学科に入って、そこで言語学という学問を習得して、彼はまた沖縄に帰って、そこで啓蒙活動というか、いろいろやるわけです。
琉球新報でも伊波普猷に関する記事がこれまでもたくさん出ているようなんですけれども、それともうひとつ、伊波普猷の「古琉球」のあとがきの中に、外間守善さんが「伊波普猷の生涯」という、素晴らしいあとがきを書き加えてあるんですけれども、この二つを見ても、伊波普猷に関して一応、褒めるなり批判するなりしているんですけれども、忘れているというか、書いてないことがあるんですよ。
■東大言語学科の植民地性
僕はそこにすごくこだわりがあります。その一つは何かというと、当時の東大言語学科というものが、いったい何だったのかということが書いてないんです。東大言語学科というのは、はっきり言って、植民地政策と海外侵略の拠点になっている、一番の尖兵の学問だったんですけれども、そのことを書いてないんです。
伊波普猷は単なる言語学者でもなく、民俗学者でもなく、沖縄文化研究の人でもなく、柳田国男によると「沖縄学の父」ということになっているんですけれども、彼は東大言語学科でいったい何を学んだのか。伊波普猷は、言語学だけではなくて、植民地政策とか、海外への膨張ー侵略政策の、一つの拠点で彼は学んだんだということを忘れてはいけないと思います。
だから、日琉同祖論が出てくる背景には、極めて政治的なものがあるということなんです。日琉同祖論というのは、日本と琉球の文化が根っこは一つだという考え方で、これは人類学とか民族学とか言語学とかを総動員して、科学的に、学問的に証明するというか、学説を立てるわけです。伊波普猷あたりが本格的に自覚していたかどうか分かりませんけれども、これは日琉同祖論があって琉球処分、日本との統一というか、併合が行われたというふうに考えるのは大きな間違いです。日本の明治新政府が、琉球を日本国に統一するために、日琉同祖論という考え方がつくられたんです。つまり、もともと「日琉同祖論」的な考え方はあったんですが、それがあらためて再発見されるんです。

だから、われわれは日琉同祖論というと、必ず文化的共通性とか、そういうのがあるはずだと思ってしまうんですね。だが、僕は伊波普猷さんの系列の、日琉同祖論の流れの中に、われわれも、たぶん沖縄の人たちも、多くの人たちが洗脳されているというわけではないけれども、そういう「日琉同祖論」的な思想t世界にはまり込んでいる可能性が高いです。
例えば、僕が去年でしたかね。佐藤優さんと僕とで対談して、沖縄独立論についてちょっとしゃべったんです。それに対して、大手新聞社の那覇支局長を務めた元記者の方は何と言ったかというと「そんなことは沖縄では絶対誰も言わない」と言うんですよ。ということは、沖縄の人たちでさえ逆にいうと、そういう雰囲気の中にはないということです。
例えば、琉舞とか琉歌とかありますね。そういうものは、結局、それは大和文化、日本文化の影響を受けているから、それはもともと、どこかで共通しているものがある。10年間沖縄に居た新聞記者がそう言うんです。では、そういう学問的根拠はどこにあるんですか?と僕は言いたいんですけど、彼らはそう思い込んでいるんです。
琉球文化と大和文化、日本文化との共通性は確かにいっぱいあるとは思うんですけれども、でも、共通性があるから同じ国にならなくてはいけないという理由は何もないんですよね。
国家というものは、同じ言語でしゃべったから同じ国にならないといけないという理由は、何もないですね。同じ民族だから、人種的に同じだからといって、一つの国にならなくてはいけないという理由もない。それはぜんぜん別の話なんですね。






(続く)


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