哲学者=山崎行太郎のBlog『毒蛇山荘日記』

哲学者、文芸評論家。慶應義塾大学大学院(哲学)修了。元・東工大講師、元・埼玉大学講師。著書=『小林秀雄とベルグソン』『小説三島由紀夫事件』『それでも私は小沢一郎を断固支持する』『保守論壇亡国論』『ネット右翼亡国論』など。『マルクスとエンゲルス』を「月刊日本」に連載中。近刊予定に『佐藤優対談集』『柄谷行人とヘーゲルとマルクス』など。緊急連絡(レポート)は、メールフォームからお願いします。➡︎https://ws.formzu.net/fgen/S49964599

桜井誠と安田浩一(『ネット右翼亡国論』から)。安田浩一『ネットと愛国』は、桜井誠の母をどう描いたか?〜〜〜(下へ続く。本文を読みたい人は、ここをクリック。)

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桜井誠安田浩一(『ネット右翼亡国論』から)。
安田浩一『ネットと愛国』は、桜井誠の「母親」をどう描いたか?そこには通俗的な左翼倫理主義者の傲慢な差別意識はないのか?

桜井誠の母親は、北九州の盛り場の片隅でスナックを経営していた。安田浩一は、桜井誠の母親が経営していたというスナックを探し出し、今は別の人が経営している店舗まで取材している。まことに見上げた取材力と調査力だが、しかし、そこに現場主義の限界と欠陥も明かである。現場主義にこだわる人は、取材対象にこだわり過ぎるあまり、その背後にあるもっと本質的なものへの探究心を見失うからである。目前に現れた現実の風景や人間に振り回されるからである。


安田浩一は北九州で取材して、炭鉱町の栄枯盛衰を表面的にしか描いていいない。その背後に隠れた問題に、目を向けていない。桜井誠が、何故、在日韓国・朝鮮人の問題、いわゆる「在日問題」や「在日特権」を執拗に告発しているのか、という問題を、十分に分析・解明していない。北九州に、「朝鮮人村」があったとか、「朝鮮人学校」があったとか、表面的な知識を披露するだけだ。


北九州は炭鉱町であったが、それだけではない。そこは「朝鮮人炭鉱労働者」の町だった。強制連行(徴用)されてきた朝鮮人炭鉱夫。それを雇い、過酷な労働を強いて、莫大な利益を上げていたのが麻生太郎の一族(麻生炭鉱)であり、NHK会長の籾井某の一族(籾井炭鉱)だった。言い換えれば、「在日朝鮮・韓国人問題」の原点の一つが、ここにある。安田浩一は、桜井誠という貧しい少年に固執するあまり、北九州工業地帯の背後の闇の部分を見ていない。


《私は高校時代の高田が住んでいた北九州市八幡西区の住宅街を訪ねた。学校からさほど離れた場所ではない。
 高田の実家は、すでに人手に渡っていた。この土地に係累は残っていない。父親は大分前から家を離れ、スナックを経営していた母親は13年に亡くなっていた。高田が東京に出てむしぱらくは彼の弟夫婦が住んでいたというが、現在は県内の別の場所へ転居している。
  近隣住民の多くが、高田のことを覚えていた。ただし返ってくるのは「目立たない」「おとなしそう子」といった通り一遍の言葉でしかない。高田家とわずかに交流を持っていたという主婦だけが、こめかみに指を当てながら、彼に関する記憶を無理やりに絞り出してくれた。》(『ネットと愛国』)


桜井誠は、何故、「在日」や「在日特権」に執拗にこだわるのか?何故、在日問題に敏感なのか?そして同時に、桜井誠の「在日」論や「在日特権」論は、それなりの説得力と影響力を持つのか?安田浩一の『ネットと愛国』は、桜井誠を批判するだけで、桜井誠の内部の思想心理、つまり「思想の生理学」の分析がない。何故、桜井誠が現在の桜井誠になったのか、の問いがない。その思想の生理学の分析・解明がない代わりに、周辺情報や暴露情報を集めていくだけだ。

《朝鮮高校の最寄り駅である折尾駅から二駅ーーjr黒崎駅近くの飲み屋街を私は歩いた。13年前に亡くなった高田の母親は、その一角にある雑居ビルのなかで、スナック『たそがれ』のママをしていた。『たそがれ』のあった場所には当然ながら他のの店が入り、高田の母親を知っている者はそこにはいなかった。》


《ママや近所の人のの話など総合すると、地元でアルバイト生活を送っていた高田が上京したのは1997年、彼が20代半ばのときだったという。町工場や古い住宅が軒を連ねる東京の下町で、高田は家賃3万5000円のアパートを借り、警備員の仕事に就いている。
「無口で目立たない男」だった高田が、カリスマ「桜井誠」として世間から注目を集めるようになるのは、それから10年の月日を要する。》


私は、以上の文章を読んで、生理的嫌悪感と激しい怒りと不快感を感じた。書き写しながら、私は、自分の母親のことを思っていた。母親とその職業。誰にも触れられたくないし、また触れたくもない存在の秘部である。安田浩一は、桜井誠の社会的信用をなくすために、桜井誠の母親の職業を持ち出している。土足で踏み込んでいる。文体に愛情がない。無能な左翼ライターの大衆蔑視の文体である。私は、「私は桜井誠である」と思った。


さて、安田浩一とは何か。「お前は、何処の馬の骨だよ」「安田浩一の母親とは何者か?」と思った 。桜井誠の悲しみと喜び、そして屈辱と怒り、それは平均な日本人の悲しみと喜び、そして屈辱と怒りであろう。安田浩一の背後には、在日コリアンや左翼文化人、東京のインテリ等がいるだろうが、桜井誠の背後にも、無数の「名もなく、貧しい日本人」がいるだろう。


《高田は高校卒業後、しばらくは地元でアルバイト生活を送っていたという。その後、今から15年ほど前に東京へ移った。》


私は、安田浩一の文体に、差別的な倫理主義者の視線と文体を感じる。場末でスナックを経営経営してママを勤めていたという桜井誠の母親のこと。高卒後、定職もなくアルバイト生活 、そして上京。東京の下町の貧しいアパートに住み着く。そして、何年かののちに、「在特会」の「桜井誠」として注目される。ふと、作家の中上健次永山則夫のことを思い出した。中上健次も、高卒で上京、大学進学を諦め、アルバイト生活を続けながら、同人雑誌で小説修業に励む。芥川賞作家=中上健次は、こうして誕生した。



《自分からは本名や経歴を一切明かさず、正体が謎に包まれていることも、なおさら彼の゛神格化゛に力を貸している。
 しかし、昔の級友たちが語る「高田」は饒舌どころか、その存在すら疑われるあやふやな印象しか残していない。当時の高田が外国人の排斥を主張した場面など誰の記憶にもになく、むしろ彼自身が「排斥」されていたのではないかんと思わせるような人物像しか浮かび上がってこない。》


《実家のあった地域は、九州でも有数の在日コリアン集住地区に隣接している。地元の人によると、この近くには1950年代まで「朝鮮部落」と呼ばれるバラック小屋の並ぶ一帯があったという。その後、公営住宅の建設によって街路は整備され「混在化」も進んだが、現在でも在日コリアンが多く住む場所として知られている。九州にただ一つある朝鮮高校も至近距離だ。》


安田浩一とは違って、私は、「米田」という「在特会」幹部が語ったという次の文章にこだわる。安田浩一は、軽く聞き流しているが、ここに本質的な問題の指摘と分析がある。


《そこで米田は一呼吸置くと、私を正面に見据えたうえで一気呵成にまくしたてた。
「我々は一種の階級闘争を闘っているんですよ。我々の主張は特権批判であり、そしてエリート批判なんです。」(中略)
「だいたい、左翼なんて、みんな社会のエリートじゃないですか。かつての全共闘運動だって、エリートの運動にすぎませんよ。あの時代、大学生ってだけで特権階級ですよ。差別だ何だのと我々に突っかかってくる労働組合なんかも十分にエリート。あんなに恵まれている人たちはいない。そして言うまでもなくマスコミもね。そんなエリートたちが在日を庇護してきた。だから彼らは「在日特権」には目もくれない。》


桜井誠」や「在特会」は、左翼エリートという特権階級を批判しているのだ。既得権益階級の人間たちとの「階級闘争」を闘っているのだ。安田浩一は、「桜井誠」や「在特会」を批判・冒涜することによって、左翼エリートという特権階級に迎合し、媚びを売っているのだ。あわよくば、自分も、左翼エリートという特権階級に仲間入りしたいと。


戦後日本で、「左翼」が、「左翼エリートという特権階級」を形成してきたことを指摘し、批判・攻撃したのは、江藤淳吉本隆明だった。桜井誠の「在日特権批判」の思想は、江藤淳吉本隆明の「戦後左翼批判」につながっている。だから、強いのだ。

(続く)


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