山崎行太郎(哲学者、文芸評論家)-Blog『毒蛇山荘日記』

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『南洲伝』のためのメモ。西郷南洲像と私。私は、長い間というか、昔から西郷隆盛が嫌いであった。英雄崇拝や英雄伝説が嫌いであった。さらに郷土自慢が嫌いであった。(続く)

『南洲伝』のためのメモ。西郷南洲像と私。


私は、長い間というか、昔から西郷隆盛が嫌いであった。英雄崇拝や英雄伝説が嫌いであった。さらに郷土自慢が嫌いであった。

だから、1-8歳で、高校を卒業して上京してからも、上野公園の西郷隆盛像に興味を持てなかった。動物園や美術館には行くが、西郷隆盛像の前は通り過ぎるだけであった。

江藤淳三島由紀夫西郷隆盛論を読んで、少し私の心に変化があったが、しかしそれでも西郷隆盛が私の問題となることはなかった。

ところが、今年、NHK大河ドラマで、西郷隆盛が選ばれたということを聞いたあたりから、私の西郷隆盛観は大きく変わった。理由は、大方の予想とは逆であった。

私は、林真理子原作、中園ミホ脚本の『 西郷どん(せごどん)』にデタラメに怒りを感じたのである。その単純な英雄伝説、あまりにも安易なメロドラマ、通俗漫画のようなヒーロー物語。。。 への怒りが、私を西郷隆盛に近づけた。私は、初めて西郷隆盛に向き合うことが出来るようになった。

まず第一弾として、「西郷隆盛はテロリストだった」というインタビュー記事を、「月刊日本」に発表した。これは、私の西郷隆盛論の原点になるものだ。それは、西郷隆盛を批判したものではない 。西郷隆盛を、私なりに擁護したものである。

三月、鹿児島に帰った時、私は初めて南洲墓地に行った。それまで、毛嫌いしていたが、行ってみるとやはり、私は私なりに感動した。やはり、この人は、私が考えていたよりも、遥かに偉大な人物なのだということが初めて分かった。

中江兆民から福沢諭吉内村鑑三ーーというような近代日本の一流の知識人が、何故、西郷隆盛を絶賛するのか。不思議だったが、今なら分かるような気がする。

私は、郷土自慢的な英雄伝説も嫌いだが、安直な西郷隆盛批判にも反対である。特に司馬遼太郎の『翔ぶが如く』における西郷隆盛蔑視論には、強い怒りを覚える。

私は、最近、今は絶版になっている岩波新書の『西郷隆盛』(圭室諦成=たまむろたいじょう)
を手に入れた。西郷隆盛を、封建主義的な愚鈍な政治家として批判、罵倒、攻撃した酷い本である。

しかし、私は、司馬遼太郎の『翔ぶが如く』に影響を与えたのは、この本ではないかと思っている。典型的な西郷隆盛蔑視論である。何故、岩波書店は絶版にしたのか。あまりにも荒唐無稽な西郷隆盛論だったからだろう。今では、岩波書店からは、別の著者による西郷隆盛論が出ている。
( 続く)


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