山崎行太郎の『毒蛇山荘日記』

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「毒蛇山荘籠城記4」。小林秀雄の『正宗白鳥の作について 』を読みながら。 小林秀雄の最晩年の遺作に『正宗白鳥の作について 』という作品があることは、よく知られているが、あまりちゃんと読んだ人はいないように見受けられる。たまたま、毒蛇山荘の書棚から出てきたので、すでに何回か読んでいるので、傍線が各所にあるが、もう一度、ちゃんと読んでみようと思って読んでいたら、これが、面白くて、明け方まで、途中で、炬燵で居眠りをくりかえしながら、読


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「毒蛇山荘籠城記4」。小林秀雄の『正宗白鳥の作について 』を読みながら。
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小林秀雄の最晩年の遺作に『正宗白鳥の作について 』という作品があることは、よく知られているが、あまりちゃんと読んだ人はいないように見受けられる。たまたま、毒蛇山荘の書棚から出てきたので、すでに何回か読んでいるので、傍線が各所にあるが、もう一度、ちゃんと読んでみようと思って読んでいたら、これが、面白くて、明け方まで、途中で、炬燵で居眠りをくりかえしながら、読んでしまった。最後は、ユングの話の途中で終わっているのだが、今度、読み返してみて驚いた。ユングの話が中心だと思っていたが、ユングの話は少ししかない。これから、フロイドの話のつづきでユングを始めようと言う矢先に、小林秀雄は、病気、入院し、そのまま帰らぬ人となったのだ。つまり遺作であり、絶筆となった作品である。小林秀雄正宗白鳥と言えば、二人の間で交わされた、トルストイの家出をめぐる、いわゆる「 トルストイ家出論争( 『思想と実生活 』論争 ) 」が有名だが、小林秀雄にとって正宗白鳥は、マルクス主義者などとはレベルの異なる最大の論争相手だったのだ。その論敵としての正宗白鳥について、最後の最後に書く小林秀雄も凄いが、小林秀雄をして、最後の作品を書かしめた正宗白鳥という作家も凄いと思う。私は、随分前、『海燕 』という文芸誌があった頃、江藤淳先生と、銀座の三笠会館で 、「小林秀雄正宗白鳥の『 思想と実生活論争』をめぐって」という対談をやったことがある。だから、この論争に関しては、それなりに詳しいつもりだが、驚くべきことに、小林秀雄は、この「 正宗白鳥の作について 」では、論敵だったはずの正宗白鳥の「自然主義文学的 」な事実尊重の態度の肩を持っているように読める。つまり、小林秀雄は、論争当時は、正宗白鳥の「 トルストイも日頃は高邁な思想や人生論を語っていたが、実生活では女房の愚痴に悩まされた挙句、家出し、そのまま横死してしまった。人生、かくの如し」というような「実生活」主義に対して、「 いやそうではない。トルストイに思想があったからこそ、つまり人生上の思想的煩悶があったればこその家出であり、横死なのだ。」という「思想」中心主義を主張していたのである。しかし、小林秀雄は、晩年になり、死を目前にして、正宗白鳥の主張の方に、傾いて行ったのであろうか。それともマルクス主義者たちとの論争の頃に、「思想はくだらない」「それを生み出す人間が大問題なのだ 」という視点に、もう一度、立ち戻ったのだろうか。小林秀雄の悲しみと根性が、そこに垣間見えるような気がする。小林秀雄は、この「 正宗白鳥の作について」で、正宗白鳥との対談の話を皮切りに、正宗白鳥の晩年の『文学的自叙伝 』や『自然主義文学盛衰史 』を取り上げ、論じていく。そしてその延長で、正宗白鳥の若年時の師であった『 内村鑑三』を分析する。この部分が実に面白い。私は、内村鑑三にあまり興味がなかったが、小林秀雄の文章を読んで、つまり正宗白鳥が書いた『 内村鑑三』を論じていく小林秀雄の文章を読んで初めて、内村鑑三の偉大さが分かったような気がしてきた。内村鑑三にとっても、基督教という思想より、内村鑑三という自己自身が問題だったのだ。それは、正宗白鳥自然主義的人間観にも通じるものである、と小林秀雄は言っているようである。内村鑑三は、英文で、『 余は如何にして基督信徒となりし乎』という本を書いた。『何故 』ではなく『 如何に』と。小林秀雄はそこに注目する。それは、思想( 宗教 )の中味ではなく、人間を、言い換えれば人間の生き方( 実生活 )を重視したということだ。『何故・・・ 』ではなく『如何に ・・・』と内村鑑三が書き記した根拠はそこにあると小林秀雄は言おうとしている。

( 続く)

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本稿は最終稿=完成稿ではありません。今後も加筆修正を繰り返していきます。最終稿は、メールマガジン山崎行太郎の毒蛇通信』でお読みください。
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