文芸評論家=山崎行太郎のブログ『毒蛇山荘日記』

文芸評論家。哲学者。慶應義塾大学大学院(哲学)修了。東工大、埼玉大学教員を経て現職。著書=『小林秀雄とベルグソン』『小説三島由紀夫事件』『保守論壇亡国論』『ネット右翼亡国論 』『曽野綾子大批判 』『エセ保守が日本を滅ぼす 』『最高裁の罠 』など。『マルクスとエンゲルス』を「月刊日本」に連載中。近刊予定に『小説・南洲伝』『 小林秀雄とマルクス』『毒蛇山荘日記(1 ) 』など。

【毒蛇山荘だより( 8 )⠀】 明日、東京へ向かいます。 今日は、庭掃除をしたり、焚き火をしたり、戸締まりをしたり、昼寝をしたり、と毒蛇山荘で、のんびり過ごしました。草薮だった石垣が見違えるように「綺麗に」なりました。無論「 綺麗 」というのは主観の問題ですが、私は、ピカピカなものは、あまり好きではないので、古色蒼然とした崩れかかったような粗末な石垣に、魅力を感じます。たとえば、東京駅や上野駅の「古さ」に、私は魅力を感じます。今は、全国的に、新幹線が出来、駅ビルもピカピカなものに変わっていますが、正直に



【毒蛇山荘だより( 8 )⠀】
明日、東京へ向かいます。

今日は、庭掃除をしたり、焚き火をしたり、戸締まりをしたり、昼寝をしたり、と毒蛇山荘で、のんびり過ごしました。草薮だった石垣が見違えるように「綺麗に」なりました。無論「 綺麗 」というのは主観の問題ですが、私は、ピカピカなものは、あまり好きではないので、古色蒼然とした崩れかかったような粗末な石垣に、魅力を感じます。たとえば、東京駅や上野駅の「古さ」に、私は魅力を感じます。今は、全国的に、新幹線が出来、駅ビルもピカピカなものに変わっていますが、正直に言って、つまらないです。鹿児島中央駅も、駅ビル建築としては最低です。何の思想も文化的野心も感じられません。貧乏人のハイカラ趣味。そこへ行くと、東京の各駅が、ほとんど昔のままで、古くて雑然としているのが不思議ですが、私は、そちらの方が好きです。新築ビルのような田舎の新幹線の駅が嫌いです。負け惜しみで言っているのではありません。文化の成熟度というものについて言っているのです。古いものをぶち壊し、その後に新しいものを作りさえすれば、それで文化が進歩したと考えるような単純な思考に、私は、違和感を感じます。東京駅の赤レンガや横浜港の赤レンガ倉庫など。歴史が生き残っています。西郷南洲大久保利通の対立・抗争も、伝統や古典を重視した上での近代化と、欧米の猿真似でしかない薄っぺらな近代化の対立・抗争です。近代進歩主義と封建守旧主義との対立・抗争ではありません。