文芸評論家=山崎行太郎のブログ『毒蛇山荘日記』

文芸評論家。哲学者。慶應義塾大学大学院(哲学)修了。東工大、埼玉大学教員を経て現職。著書=『小林秀雄とベルグソン』『小説三島由紀夫事件』『保守論壇亡国論』『ネット右翼亡国論 』『曽野綾子大批判 』『エセ保守が日本を滅ぼす 』『最高裁の罠 』など。『マルクスとエンゲルス』を「月刊日本」に連載中。近刊予定に『小説・南洲伝』『 小林秀雄とマルクス』『毒蛇山荘日記(1 ) 』など。

『南洲伝』覚書(17)ー西郷南洲と重野安繹。 西郷の学問や思想とは、最初の頃は「 朱子学」中心であったが、しかし、成長するにしたがって、西郷の学問や思想の中心は、「 陽明学」へと移っていった。13歳の時に、大阪で「大塩平八郎の乱」 が起きているが、その影響もあったのかもしれない。大塩平八郎は「 陽明学者 」だったからだ 。陽明学の中心思想は「知行合一 」の思想だ。知行合一の思想とは、行動や実践を求める思想のことだ。つまり、学んだだけではダメで、実践や行動や実践の伴わない学問を否定し、実践哲学や行動哲

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『南洲伝』覚書(17)ー西郷南洲と重野安繹。

西郷の学問や思想とは、最初の頃は「 朱子学」中心であったが、しかし、成長するにしたがって、西郷の学問や思想の中心は、「 陽明学」へと移っていった。13歳の時に、大阪で「大塩平八郎の乱」 が起きているが、その影響もあったのかもしれない。大塩平八郎は「 陽明学者 」だったからだ 。陽明学の中心思想は「知行合一 」の思想だ。知行合一の思想とは、行動や実践を求める思想のことだ。つまり、学んだだけではダメで、実践や行動や実践の伴わない学問を否定し、実践哲学や行動哲学としての学問を主張するものだ。というと、三島由紀夫を連想する人が少なくないだろう。まさしくその通りだ。三島由紀夫には『革命哲学としての陽明学 』という論考もある。三島由紀夫は、おそらく「 陽明学」を手がかりに、西郷に接近して、西郷論を書くに至ったのだろう。三島由紀夫江藤淳の西郷論が、「 歴史学者」という通俗的、凡庸な「 事実主義者」の書く 、長いだけが取り柄の西郷論( 西郷研究)より、面白いのは、西郷の学問や思想を重視しているからだろう。
東京帝国大学国史学科教授になり、「近代実証主義歴史学 」を確立したと言われる重野安繹(しげの=やすつぐ )もまた、凡庸な「 歴史学者 」の一人だったと思われる。重野は、「 昌平黌」で、7年間も学んだというから、彼の学問や思想は「朱子学 」中心だったのだろう。奄美大島における西郷と重野の「 対話」は、陽明学朱子学の対立と衝突を秘めながら進められたに違いない。それによって、西郷の「革命哲学としての陽明学 」も、思想的に一段と深められていったのだろう。
( 続く)

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