文芸評論家=山崎行太郎のブログ『毒蛇山荘日記』

文芸評論家。哲学者。慶應義塾大学大学院(哲学)修了。東工大、埼玉大学教員を経て現職。著書=『小林秀雄とベルグソン』『小説三島由紀夫事件』『保守論壇亡国論』『ネット右翼亡国論 』『曽野綾子大批判 』『エセ保守が日本を滅ぼす 』『最高裁の罠 』など。『マルクスとエンゲルス』を「月刊日本」に連載中。近刊予定に『小説・南洲伝』『 小林秀雄とマルクス』『毒蛇山荘日記(1 ) 』など。

『南洲伝』覚書(24)ー大久保利通の「 証言 」は信用出来るか? 大久保利通は、西南戦争終結後、多くの「証言 」を周辺に漏らしている。無口で、謹厳実直のイメージとは違う「 証言 」の仕方である。言い換えれば…明らかに意図的だ。私は、大久保利通の西郷に関する「 証言 」の多くは信用出来ないと判断する。自己弁護、自己合理化の匂いがする。 たとえば、兵庫県の海岸での「刺し違え未遂事件 」。島津久光の怒りをかって、遠島処分、あるいは切腹の処分を受ける可能性があった時、大久保利通は、西郷を兵庫県の海岸に連れ出

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『南洲伝』覚書(24)ー大久保利通の「 証言 」は信用出来るか?

大久保利通は、西南戦争終結後、多くの「証言 」を周辺に漏らしている。無口で、謹厳実直のイメージとは違う「 証言 」の仕方である。言い換えれば…明らかに意図的だ。私は、大久保利通の西郷に関する「 証言 」の多くは信用出来ないと判断する。自己弁護、自己合理化の匂いがする。
たとえば、兵庫県の海岸での「刺し違え未遂事件 」。島津久光の怒りをかって、遠島処分、あるいは切腹の処分を受ける可能性があった時、大久保利通は、西郷を兵庫県の海岸に連れ出し、「こと、ここに至った以上、もう駄目だ、 刺し違えて共に死のう」と提案したが、西郷が反対し、未遂に終わったという話。大久保利通は、西郷との「無二の親友物語 」として、この話を、西郷戦死直後、重野安繹などにもらしている。やがて、重野安繹が書くであろうという『 西郷隆盛伝』に この話を書き加えてほしい、と。明らかに創作だろう。
西郷が無惨な死に方をした後、新政府側に居残り、結果的に西郷惨殺の「下手人 」となった薩摩系の政治家や軍人達は、深く思い悩んでいた。西郷殺しは「父親殺し 」だった。「 西郷殺し」の主犯格である大久保利通も例外ではなかった。「 西郷殺し 」の主犯格として、自分の名前が、歴史に書き残されるだろうことを、大久保利通は自覚していた。だからこそ、大久保利通は、この「 美談 」を語り残すとこ必要があったのだ。




( 続く)
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