文芸評論家=山崎行太郎のブログ『毒蛇山荘日記』

文芸評論家。哲学者。慶應義塾大学大学院(哲学)修了。東工大、埼玉大学教員を経て現職。著書=『小林秀雄とベルグソン』『小説三島由紀夫事件』『保守論壇亡国論』『ネット右翼亡国論 』『曽野綾子大批判 』『エセ保守が日本を滅ぼす 』『最高裁の罠 』など。『マルクスとエンゲルス』を「月刊日本」に連載中。近刊予定に『小説・南洲伝』『 小林秀雄とマルクス』『毒蛇山荘日記(1 ) 』など。

『南洲伝』覚書(27)ー大久保利通と重野安繹。 大久保利通が、西南戦争の一年後に、暗殺されるが、その時、懐に西郷からの手紙を入れていたという話も怪しい。事実だったとしても、怪しい。その事実から、西郷と大久保の「無二の親友物語」を安易に想像するのは 、大久保利通の思う壺である。大久保利通は、「西郷殺し」の確信犯であった。それ故に、多くの同士や仲間たちが、茫然自失する中、大久保利通は、西郷との「無二の親友物語」を巧妙に「演技」する必要があった。「西郷殺し」に積極的に加担、実行したた「主犯格」の大久保利通と川

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『南洲伝』覚書(27)ー大久保利通と重野安繹。

大久保利通が、西南戦争の一年後に、暗殺されるが、その時、懐に西郷からの手紙を入れていたという話も怪しい。事実だったとしても、怪しい。その事実から、西郷と大久保の「無二の親友物語」を安易に想像するのは 、大久保利通の思う壺である。大久保利通は、「西郷殺し」の確信犯であった。それ故に、多くの同士や仲間たちが、茫然自失する中、大久保利通は、西郷との「無二の親友物語」を巧妙に「演技」する必要があった。「西郷殺し」に積極的に加担、実行したた「主犯格」の大久保利通川路利良が、翌年と翌翌年、相次いで死んでいったのは、因縁話のようだが、事実である。大久保利通は、翌年、暴漢に暗殺される。川路利良は、翌翌年、病死する。これは単なる偶然だろうが、私は、偶然ではないと思う。司馬遼太郎は、『翔ぶが如く』で、大久保利通川路利良、あるいは重野安繹等を、「近代主義者」「欧米主義者」「合理主義者」・・・の象徴として、「彼等が『近代日本』を作ったのだ」と、「美化(理想化)」して描いているが、多くの読者は、それを、そのまま理解していない。納得していない。川路利良や重野安繹らの場合、その名前すら記憶していない。大久保利通川路利良の死は人間の死だが、西郷の死は一人の人間の死ではない。西郷の死は、言うならば、「神の死」であった。大久保利通川路利良の死は、神を殺した人間の末路を、暗示している。

前にも書いたことだが、私は、小学校6年生の時の修学旅行で、初めて、西郷終焉の地「城山」に、観光バスで登った。展望台で、「西郷さん」そっくりの売店(?)の老人から、壮絶な西郷戦死の話を聞きながら、私は、深く感動し、身震いしたことを覚えている。そういう体験は初めてだった。それ以後もない。私は 、話の中身はだいたい知っていたが、その場所で、「西郷さん」そっくりの老人から聞く話は別だった。城山の展望台からは、鹿児島市内や錦江湾桜島、そして南国の青空が、目前に拡がっていた。私は、この時、「神の死」、あるいは「神々の死」を目前にしていたのだと思う。
( 続く)

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