文芸評論家=山崎行太郎のブログ『毒蛇山荘日記』

文芸評論家。哲学者。慶應義塾大学大学院(哲学)修了。東工大、埼玉大学教員を経て現職。著書=『小林秀雄とベルグソン』『小説三島由紀夫事件』『保守論壇亡国論』『ネット右翼亡国論 』『曽野綾子大批判 』『エセ保守が日本を滅ぼす 』『最高裁の罠 』など。『マルクスとエンゲルス』を「月刊日本」に連載中。近刊予定に『小説・南洲伝』『 小林秀雄とマルクス』『毒蛇山荘日記(1 ) 』など。

『南洲伝』覚書(32)ー大久保利通暗殺事件 ■本文を書き忘れて、眠り込んでしまっていたらしい。というわけで、一日後に書き足す。 ■それにしても不思議なのは、大久保利通暗殺事件の首謀者・島田一郎に対する評判が非常に悪いことだ。私は、「桜田門外の変」の首謀者たちに対する評価と比較しながら、あまりにも落差が大きいことを、不可解に思う。何故だろう。私の考えでは、明治維新を肯定する側による御用学者やジャーナリズム、一般大衆を巻き込んだ「勝者史観」が影響しているように見える。井伊直弼の首を討ち取った桜田門外の変は、大

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『南洲伝』覚書(32)ー大久保利通暗殺事件

■それにしても不思議なのは、大久保利通暗殺事件の首謀者・島田一郎に対する評判が非常に悪いことだ。私は、「桜田門外の変」の首謀者たちに対する評価と比較しながら、あまりにも落差が大きいことを、不可解に思う。何故だろう。私の考えでは、明治維新を肯定する側による御用学者やジャーナリズム、一般大衆を巻き込んだ「勝者史観」が影響しているように見える。井伊直弼の首を討ち取った桜田門外の変は、大久保利通暗殺事件と同じテロ事件でありながら、賞賛に値する「義挙」とみられているのに対して、大久保利通を惨殺した島田一郎等は、単なる犯罪人でしかないように、受け止められている。これは、誰が、メディアを握っているか、という極めて、現代的な問題である。明治新政府の御用作家的存在でしかなかった司馬遼太郎は、完全に大久保利通サイドから、この事件を描いている。当然、島田一郎等を、馬鹿かキチガイのように描いている。勝者である明治新政府に歯向かうものは、馬鹿かキチガイでしかないといわけだ。司馬遼太郎の「西南戦争」の描き方も同じだ。時の権力に迎合することを宿命とする御用学者でしかない「歴史学者」も、同じだ。
■石川県士族・島田一郎等は、馬鹿でもキチガイでもなかった。彼等は、尊敬に値する立派なサムライだった。彼等は、死後の名誉のことを、充分に考慮し、準備万端ととのえた上で、行動にうつしている。私は、島田一郎等の実行した「大久保利通暗殺事件」を、「仇討ち」と見る。西南戦争における西郷軍(薩軍)がやり残したことをやろうとして、なかばやりとげたのであった。彼等は、事件後、逃げも隠れもせず、揃って警察に出頭し、逮捕された。









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