文芸評論家=山崎行太郎のブログ『毒蛇山荘日記』

文芸評論家。哲学者。慶應義塾大学大学院(哲学)修了。東工大、埼玉大学教員を経て現職。著書=『小林秀雄とベルグソン』『小説三島由紀夫事件』『保守論壇亡国論』『ネット右翼亡国論 』『曽野綾子大批判 』『エセ保守が日本を滅ぼす 』『最高裁の罠 』など。『マルクスとエンゲルス』を「月刊日本」に連載中。近刊予定に『小説・南洲伝』『 小林秀雄とマルクス』『毒蛇山荘日記(1 ) 』など。

『南洲伝』覚書( 37 )ー大久保利通暗殺事件。 暗殺事件は、暗殺された被害者側に立って見るか、あるいは暗殺事件を実行した加害者側に立って見るかで、その意味は、大きく変わってくる。「大久保利通暗殺事件」も例外ではない。私は、最近まで、大久保利通を襲撃し、惨殺した6人の実行犯たちの思想と行動、そして彼等の人生を、まったく知らなかった。島田一郎等、6人の暗殺者たちの人生や政治思想を知るに及んで、考えることが多くなった。当然のことだが、彼等は、単なる無知蒙昧な暴虐の集団ではなかった。一人一人に、家族や友人がお

『南洲伝』覚書( 37 )ー大久保利通暗殺事件。

暗殺事件は、暗殺された被害者側に立って見るか、あるいは暗殺事件を実行した加害者側に立って見るかで、その意味は、大きく変わってくる。「大久保利通暗殺事件」も例外ではない。私は、最近まで、大久保利通を襲撃し、惨殺した6人の実行犯たちの思想と行動、そして彼等の人生を、まったく知らなかった。島田一郎等、6人の暗殺者たちの人生や政治思想を知るに及んで、考えることが多くなった。当然のことだが、彼等は、単なる無知蒙昧な暴虐の集団ではなかった。一人一人に、家族や友人がおり、その思想も、長い時間をかけて、深く思考したものであった。決して、司馬遼太郎が罵倒しているような「論ずるに値しない」ような時代錯誤的なものではなかった。司馬遼太郎は、あまりにも「大久保利通」側に、つまり権力側に傾斜したモノの考え方に凝り固まっていたが故に、島田一郎等の思想や行動に関心を寄せることができなかった。( 続く)