文芸評論家=山崎行太郎のブログ『毒蛇山荘日記』

文芸評論家。哲学者。慶應義塾大学大学院(哲学)修了。東工大、埼玉大学教員を経て現職。著書=『小林秀雄とベルグソン』『小説三島由紀夫事件』『保守論壇亡国論』『ネット右翼亡国論 』『曽野綾子大批判 』『エセ保守が日本を滅ぼす 』『最高裁の罠 』など。『マルクスとエンゲルス』を「月刊日本」に連載中。近刊予定に『小説・南洲伝』『 小林秀雄とマルクス』『毒蛇山荘日記(1 ) 』など。

『南洲伝』覚書( 38 )ー大久保利通暗殺事件。 時の総理総裁とも言うべき大久保利通を、六名の青年たちが、自分達の命を犠牲にして、暗殺した。私利私欲からの『暗殺・テロ』ではない。若い命を投げ出した無私無欲の『暗殺・テロ』であった。彼等が所持していた『斬奸状( 斬姦状)』には、次のような文章が書かれていた。

『南洲伝』覚書( 38 )ー大久保利通暗殺事件。

時の総理総裁とも言うべき大久保利通を、六名の青年たちが、自分達の命を犠牲にして、暗殺した。私利私欲からの『暗殺・テロ』ではない。若い命を投げ出した無私無欲の『暗殺・テロ』であった。彼等が所持していた『斬奸状( 斬姦状)』には、次のような文章が書かれていた。

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今其罪状を条挙する左の如し。
曰く、公議を杜絶し、民権を抑圧し、以て政事を私する。其罪一なり。
曰く、法令漫施、請託公行、恣に威福を張る。其罪二なり。
曰く、不急の土木を興し、無用の修飾を事とし、以て国財を徒費する。其罪三なり。
曰く、慷慨忠節の士を疎斥し、憂国敵愾の徒を嫌疑し、以て内乱を醸成する。其罪四なり。
曰く、外国交際の道を誤り、以て国権を失墜する。其罪五なり。

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この斬奸状を書いたのは。六名ではなかった。実際に書いたのは、彼等の師匠格の別の人物、自由民権運動家でもあった陸義猶( くが・よしなお)だった。しかし、陸義猶は、斬奸状書くには書いたが、あくまでもテロには反対だったらしい。ともあれ、彼等六名が、この斬奸状に込めた思いは、限りなく重いものだろう。政府は、この斬奸状の公表を禁じた。新聞も学者、文化人も弾圧を恐れて沈黙した。福沢諭吉も例外ではなかった。福沢諭吉も弾圧を恐れたのだろう。書き上げた「西郷南洲擁護論」( 『丁丑公論』)を公表しなかった。明治は明るい時代ではない。恐怖政治と言論弾圧、暗い時代であった。革命防衛隊と言うべき秘密警察が、スパイ網を全国に張り巡らし、暗躍する白色テロが横行する時代だった。新聞紙条例などで、言論統制言論弾圧は徹底されていた。政府は、政府批判の文書類が公表されると困ったことになると解釈したからだろう。この島田一郎らの所持していた「斬奸状」にも、激しい「政府批判」の言葉が並んでいた。この斬奸状を書いた人物( 陸義猶)と、六人のメンバーの中の一人(長 蓮豪 )は、西郷南洲の、いわゆる、鹿児島の「私学校」にも参加し、西郷南洲桐野利秋らとも交流している。したがって、「西南戦争」と「紀尾井坂の変( 大久保利通暗殺事件)」は、セットになっている。歴史学者たちは、西南戦争を、「大義名分なき不平士族の叛乱・・・」と書くのが通説のようだが、「大久保利通暗殺事件」をも、同じような論理で批判する。しかし、私は、その御用学者という名の歴史学者たちの「通説」に反対である。大久保利通が、暗殺されたのは、ある意味で当然だった。島田一郎等が殺らなくても、誰かが殺っただろうと、私は思う。ところで、大久保利通暗殺事件で、若い命を落とした六名とは、以下の通り。

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■島田一郎(台東区谷中霊園)
■杉村文一(台東区谷中霊園)
■杉本乙菊(台東区谷中霊園)
■浅井寿篤(台東区谷中霊園)
■脇田功一(台東区谷中霊園)
■長 蓮豪(台東区谷中霊園)
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「浅井寿篤」を除く五名は石川県士族である。彼等の遺骨は、谷中墓地の墓に葬られている。六名は、『首切り浅右衛門』の手で斬首されたが、テロリストの遺骨ということで、なかなか墓地が見つからなかった。しかし、まだ少年だった杉村文一の次兄(司法省勤務 )等が手配して、彼等の遺骨を大八車で谷中墓地まで運び、そこが彼等の墓地となった。金沢の野田山墓地にも、その後、金沢の有志たちによって墓が作られ、遺品や遺物などが、葬られている。
「名演説家」として知られる永井柳太郎は、大正6年、故郷の金沢から普通選挙に立候補した時、最初の挨拶と演説を、野田山墓地の前藩主前田家の墓参りと島田一郎等の墓参りから始めた。そして、演説の第一声を、こういう言葉で開始したという。
『「先生(島田一郎)は全民衆のために、時の専断政治家大久保を倒してその罪に殉じた。その行為は身を殺して仁をなすという、加賀武士の本領を発揮したものである。・・・」と。

( 写真は、金沢市内、野田山墓地の島田一郎等の墓。)

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