文芸評論家=山崎行太郎のブログ『毒蛇山荘日記』

文芸評論家。哲学者。慶應義塾大学大学院(哲学)修了。東工大、埼玉大学教員を経て現職。著書=『小林秀雄とベルグソン』『小説三島由紀夫事件』『保守論壇亡国論』『ネット右翼亡国論 』『曽野綾子大批判 』『エセ保守が日本を滅ぼす 』『最高裁の罠 』など。『マルクスとエンゲルス』を「月刊日本」に連載中。近刊予定に『小説・南洲伝』『 小林秀雄とマルクス』『毒蛇山荘日記(1 ) 』など。

『南洲伝』覚書(40)ー大久保利通暗殺事件。 ■石川県士族と、西郷南洲や桐野利秋など、鹿児島の「私学校」との関係は深い。この頃、全国各地から、西郷南洲や桐野利秋を訪ねてくる人が絶えなかった。西郷南洲の『西郷南洲翁遺訓』が、鹿児島を訪れた庄内藩( 山形県)の有志たちによって編集されたが、桐野利秋の談話録『桐陰仙譚』も編集されており、それを編集したのは石川県(金沢 )の有志たちだった。石川県士族石川九郎と中村俊次郎の二人は、明治七年五月から七月頃、桐野利秋を訪ねて、征韓論や台湾問題などについて、歓談している

『南洲伝』覚書(40)ー大久保利通暗殺事件。

■石川県士族と、西郷南洲桐野利秋など、鹿児島の「私学校」との関係は深い。この頃、全国各地から、西郷南洲桐野利秋を訪ねてくる人が絶えなかった。西郷南洲の『西郷南洲翁遺訓』が、鹿児島を訪れた庄内藩( 山形県)の有志たちによって編集されたが、桐野利秋の談話録『桐陰仙譚』も編集されており、それを編集したのは石川県(金沢 )の有志たちだった。石川県士族石川九郎と中村俊次郎の二人は、明治七年五月から七月頃、桐野利秋を訪ねて、征韓論や台湾問題などについて、歓談している。石川九郎も中村俊次郎も、金沢にできた政治結社「忠告社」のメンバーだった。ということは、陸義猶等とは政治的同士だったことになる。
■島田一郎は、鹿児島との具体的関係はない。遊学も留学もしていない。しかし、陸義猶( くが・よしなお)や長 連豪(ちょう つらひで)等から、鹿児島や私学校、あるいは、西郷南洲桐野利秋等の話を細かく聞いて、思想的影響を受けていたはずである。従って、「大久保利通暗殺事件」が、西南戦争の後始末に他ならなかったことは間違いない。大久保利通暗殺事件に結集した石川県士族たちは、「不平士族」だったことは間違いないが、単なる頑迷古老の不平士族だったわけではない。彼等は、「江藤新平処刑反対」の運動を展開したように、大久保利通の「独裁恐怖政治」や川路利良のジョセフ・フーシェを模倣したスパイ網を張り巡らした「秘密警察国家」にも、反対していたのである。川路利良は、石川県の政情も、そして島田一郎らの行動も、ほぼ把握していた。しかし、川路利良は、「石川県士族のような腰抜けに何ができるか。」と広言し、相手にしていなかった。事件後、現場に駆けつけてきた川路利良は、顔面蒼白となり、翌日には、辞職を申し出た。辞職は認められず、続投となったが、しかし、心労は重なり、翌年には病没している。病気療養を兼ねて、フランスに遊学していたが、病は重くなるばかりで、緊急帰国後に、病没してしまった。
■私は、大久保利通暗殺事件が、薩軍( 西郷軍)の残党やその仲間同士たちによって、引きおこされたのではなく、遠く離れた石川県士族たちによって引き起こされたというところに、重大な意味があると思う。陸義猶や島田一郎らもまた、新しい近代政治を模索しているグループだった。決して、単なる不平士族であり、江戸幕府的な、士族封建国家の復活を目指していたわけではない。むしろ、大久保利通政権の「政治」こそ、反近代的な「独裁恐怖政治」であり、「秘密警察国家」であった。陸義猶や島田一郎等は、「独裁恐怖政治」でもなく、「言論弾圧」や「スパイ網」を張り巡らして、人民=民衆を強権支配する「秘密警察国家」でもない、もう一つの政治を目指していたのである。陸義猶の書いた「斬奸状」の冒頭には、「国会( 議会)開設」が要求されている。大久保利通の「政治」が、「開明的・近代政治」であり、西郷南洲桐野利秋、陸義猶、島田一郎等の「政治」は、守旧派の「士族封建政治」だったかのように描く司馬遼太郎の歴史解釈( 司馬史観)は間違っている。ホッブス、ロック、ルソーらによって確立された近代の政治思想は、「自由」、「平等」、「博愛」の政治であり、その中心概念は「抵抗権」だった。大久保利通川路利良等の「政治思想」には、「抵抗権」という思想はなかった。むしろ逆に、西郷南洲桐野利秋、島田一郎等の「政治思想」には「抵抗権」はあった。福沢諭吉が、『丁丑公論(ていちゅうこうろん)』で、西郷南洲を擁護したのは、そこに、国民・民衆の「抵抗権」を認めたからである。

( 続く)








・・・・・にほんブログ村 政治ブログへ・・



👈応援クリックよろしくお願いします!


-------------ーーーー


山崎行太郎の本。
⬇⬇⬇


f:id:yamazakikotaro:20190624224835j:plain
⬇︎⬇︎⬇︎
適菜収氏と小生との対談集。



f:id:yamazakikotaro:20190629101607p:plain
⬇︎⬇︎⬇︎
ネット右翼」の表層構造( イデオロギー)と深層構造( 存在論)を論じる。ネット右翼には「歴史的必然性」もある。



⬇︎⬇︎⬇︎
安倍政権は「ネット右翼政権」である。安倍政権の正体を知りたければ、これを読むべし。最近の日本の「保守」は「エセ保守」ばかり。山崎行太郎著『保守論壇亡国論』と、佐高信氏との対談集『曽野綾子大批判』は、安倍政権とそれを支持する現代日本人の「思想的劣化」=「政治的劣化」=「反知性主義化」を哲学的に分析・解明しています!


http://www.amazon.co.jp/gp/product/4906674526?ie=UTF8&at=&force-full-site=1&ref_=aw_bottom_links



曽野綾子批判」の元祖・佐高信氏と、「沖縄集団自決論争」以来、曽野綾子批判を続ける山崎行太郎との過激な対談集。
⬇︎⬇︎⬇︎
Amazon⬇︎ http://www.amazon.co.jp/gp/product/4906674577?ie=UTF8&at=&force-full-site=1&ref_=aw_bottom_links


『それでも私は小沢一郎を断固支持する』

文芸評論家・江藤淳の「小沢一郎論」をヒントに、「政治家・小沢一郎」の思想と行動を論じた存在論的政治家論。
⬇︎⬇︎⬇︎
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4862860605?ie=UTF8&at=&force-full-site=1&ref_=aw_bottom_links





イデオロギー的な観点からではなく、存在論的観点から「三島事件」の本質を解明した異色の三島由紀夫

http://www.amazon.co.jp/gp/product/4946515577?ie=UTF8&at=&force-full-site=1&ref_=aw_bottom_links




柄谷行人氏が絶讃、推薦した山崎行太郎の処女作。哲学者・文藝評論家=「山崎行太郎」誕生の書。
⬇︎⬇︎⬇︎
Amazon⬇︎
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4882024977?ie=UTF8&at=&force-full-site=1&ref_=aw_bottom_links


ーーーーーーーーーーーーーーーーー

👈応援クリックよろしくお願いします!
(続きは、「イデオロギーから存在論へ」「文学や哲学を知らずして政治や経済、軍事をかたるなかれ」がモットーの『思想家・山崎行太郎のすべて』が分かる!!!有料メールマガジン『週刊・山崎行太郎』(月500円)でお読みください。登録はコチラから→http://www.mag2.com/m/0001151310.html