文芸評論家=山崎行太郎のブログ『毒蛇山荘日記』

文芸評論家。哲学者。慶應義塾大学大学院(哲学)修了。東工大、埼玉大学教員を経て現職。著書=『小林秀雄とベルグソン』『小説三島由紀夫事件』『保守論壇亡国論』『ネット右翼亡国論 』『曽野綾子大批判 』『エセ保守が日本を滅ぼす 』『最高裁の罠 』など。『マルクスとエンゲルス』を「月刊日本」に連載中。近刊予定に『小説・南洲伝』『 小林秀雄とマルクス』『毒蛇山荘日記(1 ) 』など。

小林秀雄とマルクス(5)。 小林秀雄はマルクスやマルクス主義について、デビュー作『様々なる意匠』において、かなり本質的なことを書いているが、しかし、小林秀雄はマルクスやマルクス主義を熱心に勉強したというわけではなだそうである。前にも書いたように、小林秀雄は、マルクスを読む前に、フランス文学やロシア文学に深入りしていた。例えば、ランボーやドストエフスキーを熟読し、そちらの影響を深く受けていた。つまり、小林秀雄は、マルクスを読む前に ランボーやドストエフスキー、あるいはベルグソンやニーチェなどを乱読、熟読し

小林秀雄マルクス(5)。

小林秀雄マルクスマルクス主義について、デビュー作『様々なる意匠』において、かなり本質的なことを書いているが、しかし、小林秀雄マルクスマルクス主義を熱心に勉強したというわけではなだそうである。前にも書いたように、小林秀雄は、マルクスを読む前に、フランス文学やロシア文学に深入りしていた。例えば、ランボードストエフスキーを熟読し、そちらの影響を深く受けていた。つまり、小林秀雄は、マルクスを読む前に ランボードストエフスキー、あるいはベルグソンニーチェなどを乱読、熟読していた。ようするに疾風怒濤の文学青年時代があったということだ。その後で、マルクスを知り、マルクスを読んだのである。だからこそ、小林秀雄は、マルクスを、広く深く勉強する前に、マルクスの哲学や思想の本質を、直観的に把握できたのだと言っていい。小林秀雄の「マルクス論」が、面白いのはそこに根拠があると思われる。言い換えると、小林秀雄は、『資本論 』やその他の著作を、マルクス主義者やマルクス研究者達のようには読んでいないかもしれない。しかし、それでも、小林秀雄マルクス論の方が面白く、かつ、深いのは 、マルクスの哲学や思想の本質が、小林秀雄が文学を通して身につけたものと、ほぼ同じものだったからではないか。たとえば、マルクスの「唯物論」は、小林秀雄の「唯物論」に近い。つまり、マルクスの「唯物論」は、マルクス主義者が妄想しているような、「イデオロギーとしての唯物論」ではない。
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