文芸評論家=山崎行太郎のブログ『毒蛇山荘日記』

文芸評論家。哲学者。慶應義塾大学大学院(哲学)修了。東工大、埼玉大学教員を経て現職。著書=『小林秀雄とベルグソン』『小説三島由紀夫事件』『保守論壇亡国論』『ネット右翼亡国論 』『曽野綾子大批判 』『エセ保守が日本を滅ぼす 』『最高裁の罠 』など。『マルクスとエンゲルス』を「月刊日本」に連載中。近刊予定に『小説・南洲伝』『 小林秀雄とマルクス』『毒蛇山荘日記(1 ) 』など。

『 吉本隆明 /江藤淳全対話』を読む(3)。 私が 、夏季休暇の旅のお供に、『 吉本隆明 /江藤淳全対話』を選んだのは、もちろん本文を、再読したかったこともあるが、実はそれ以上に、この『 吉本隆明 /江藤淳全対話』の解説を 、対談形式だが、書いている内田樹と高橋源一郎に、逆説的興味があったからだ。

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吉本隆明 /江藤淳全対話』を読む(3)。

私が 、夏季休暇の旅のお供に、『 吉本隆明 /江藤淳全対話』を選んだのは、もちろん本文を、再読したかったこともあるが、実はそれ以上に、この『 吉本隆明 /江藤淳全対話』の解説を 、対談形式だが、書いている内田樹高橋源一郎に、逆説的興味があったからだ。特に内田樹について。最近、江藤淳の復活が話題になりつつあるが、江藤淳の文庫本の解説が、ちょっとおかしい。江藤淳を 高みから見下したかのような感想を述べるような解説文が多い。その代表的論者が内田樹である。そして、不思議なことに、本書『 吉本隆明 /江藤淳全対話』の解説も内田樹である。何故、内田樹なのか。解説文の書き手として相応しくないのではないかと、私などは思うのだが、わざわざ、「江藤淳嫌い」と思われるような論者を選び 、江藤淳を見下した上に、江藤淳をシニカルに批判させるということには、担当の編集者たちには、何か考えがあるのだろう。果たして、どういう考えがあるのか。私は、うすうす分かっているが、あまり 先を急がないことにする。少なくとも、吉本隆明は、この全対話を読むまでもなく、「江藤淳」という文芸評論家を、多くの点で意見を異にしつつも、高く評価している。江藤淳が突然、自死した時の「追悼文」も、思想的同志に捧げるような愛情溢れた追悼文だった。それに対し、私は、最近の編集者や評論家、思想家、学者たちは、「江藤淳」という文芸評論家の偉大さが、まったく分かっていないのではないかと想像する。吉本隆明柄谷行人のような一流と思われている思想家や批評家が、揃って「江藤淳」を高く評価する以上、「お前らセンスがないね」と言われるのが怖いから、一応、分かったような振りをして、認めないわけにはいかない、というのが実状だろう。だから、解説文が頓珍漢になるのである。
(続く)