文芸評論家=山崎行太郎のブログ『毒蛇山荘日記』

文芸評論家。哲学者。慶應義塾大学大学院(哲学)修了。東工大、埼玉大学教員を経て現職。著書=『小林秀雄とベルグソン』『小説三島由紀夫事件』『保守論壇亡国論』『ネット右翼亡国論 』『曽野綾子大批判 』『エセ保守が日本を滅ぼす 』『最高裁の罠 』など。『マルクスとエンゲルス』を「月刊日本」に連載中。近刊予定に『小説・南洲伝』『 小林秀雄とマルクス』『毒蛇山荘日記(1 ) 』など。

俺に「皇帝殺し」が出来るだろうか?ー清水正小論(3) ・・・『 罪と罰』の冒頭部分に、「俺にアレが出来るだろうか」という印象的な言葉がある。普通に読めば、「アレ」は、高利貸しの老婆「アリョーナ殺し」を意味すると思われるが、清水正によると、「アレ」とは、そんな単純な話ではなく、実は「皇帝殺し」を意味しているのだと言う。なるほど。そもそも、ドストエフスキーは、秘密の政治集会に参加していたために逮捕され、死刑判決を受けている。いわゆるペトラシェフスキー事件である。その後、減刑され、7、8年間のシベリア流刑生活

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俺に「皇帝殺し」が出来るだろうか?ー清水正小論(3)

罪と罰』の冒頭部分に、「俺にアレが出来るだろうか」という印象的な言葉がある。普通に読めば、「アレ」は、高利貸しの老婆「アリョーナ殺し」を意味すると思われるが、清水正によると、「アレ」とは、そんな単純な話ではなく、実は「皇帝殺し」を意味しているのだと言う。なるほど。そもそも、ドストエフスキーは、秘密の政治集会に参加していたために逮捕され、死刑判決を受けている。いわゆるペトラシェフスキー事件である。その後、減刑され、7、8年間のシベリア流刑生活を送った政治青年であり、革命家である。「老婆殺し」ではなく、「皇帝殺し」に興味があったことはまぎれもない事実だろう。では、何故、「老婆殺し」なのか。それは、当局の検閲の眼を逃れるためであった。もし、検閲官が、「皇帝殺し」の意味を読み取ったら、即、逮捕され、処刑されていただろう。シベリア帰りの作者・ドストエフスキーが、そんな幼稚なヘマをするはずがない。

(続く)