文芸評論家=山崎行太郎のブログ『毒蛇山荘日記』

文芸評論家。哲学者。慶應義塾大学大学院(哲学)修了。東工大、埼玉大学教員を経て現職。著書=『小林秀雄とベルグソン』『小説三島由紀夫事件』『保守論壇亡国論』『ネット右翼亡国論 』『曽野綾子大批判 』『エセ保守が日本を滅ぼす 』『最高裁の罠 』など。『マルクスとエンゲルス』を「月刊日本」に連載中。近刊予定に『小説・南洲伝』『 小林秀雄とマルクス』『毒蛇山荘日記(1 ) 』など。

ロシアの大地に接吻せよ!ー清水正小論(5) ・・・ドストエフスキーに、次のような、印象的な言葉がある。 《もし誰かが私にむかってキリストは真理の外にある、正真正銘、真理はキリストの外にある、と説明するものがっても私はむしろ真理よりもキリストと共にあることを望むでしょう》

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ロシアの大地に接吻せよ!ー清水正小論(5)

ドストエフスキーに、次のような、印象的な言葉がある。
《もし誰かが私にむかってキリストは真理の外にある、正真正銘、真理はキリストの外にある、と説明するものがっても私はむしろ真理よりもキリストと共にあることを望むでしょう》
これは、ドストエフスキー福音書を贈ってくれた「デカブリスト」(「デカブリストの乱」で逮捕され、シベリア流刑になった政治犯たち)の妻、フォン・ヴィージナ宛の手紙の一節である。おそらく、この言葉の意味を理解できるのは、ドストエフスキー体験者のみだ、と私は思う。ドストエフスキーの信仰の深さと過激性を現す言葉だ。清水正も、こう書いている。
《 この手紙はドストエフスキー文学を理解するキーワードの一つであり、ドストエフスキー論の著作の中には必ず引用されるものである。(中略)わたしは、ずいぶん長い間、ドストエフスキーを精神上の分裂者と見なし 、その立場に立って多くのドストエフスキー論をものしてきたが 、八年ぐらい前から、やはりドストエフスキーキリスト者であったのだのだなと素直に思うようになってきた。誤解を招く言い方になるかもしれないが、神を懐疑する信仰、神に反抗する信仰も、信仰のうちにあるのだと思うようになってきたのである。》
清水正は 、「キリスト者」と言って、「キリスト教信者」とか「キリスト教徒」とは言っていない。「真理よりもキリストと共にいたい」というのは、単に敬虔な「キリスト教信者」や「キリスト教信仰」を言っているのではない。清水正が言うように、「神を懐疑する信仰、神に反抗する信仰」を含む信仰を言っている。キルケゴールは、「キリスト教にはキリストがいない」と言い 、「キリストを回復させること」が重要だと言ったが・・・。
清水正は、「8年ぐらい前から・・・」と書いている。「50年」のなかの「8年」である。この「8年」という言葉は重要である。何故、重要なのか。清水正の「ドストエフスキー体験」は、まだ続いているということだ。「ドストエフスキー研究者」なら、こうは言わないだろう。江川卓の「謎」は解けるだろう。解けた時点で終わるだろう。清水正にとっての「謎」は「謎解き」の「謎」ではない。清水正の「謎」は、解けたと思った時点で、さらに謎が噴出してくる、いわゆる「謎が謎を呼ぶ・・・
」ような、そういう「謎」である。「ドストエフスキー体験者」のみが直面出来る「謎」である。
キリスト者」とは何か。清水正は、こう書いている。
ドストエフスキーの文学を流刑前と後の二期に大きく分けてみれば、その最大の違いは、キリスト教信仰の深浅さにある。何人もの人間を平気で殺したような男たち がごろごろしているような監獄の中で、ドストエフスキー福音書をひもといていたのであるから、書斎に閉じこもって聖書を研究しているような神学者の信仰とは信仰が違うのである。》
ドストエフスキーの信仰は、「キリスト教徒」や「キリスト教信者」の信仰とは違うということだろう。つまり、「キリスト者」の信仰である、ということだろう。
罪と罰』において、「キリスト者」を象徴する人物が、貧しい、無教養な売春婦・ソーニャである。ソーニャは、狂信的な「キリスト者」である。ソーニャは、「キリスト者」として、殺人者・ラスコーリニコフに命令する。
《 ずく、今すぐ行って、四つつじにお立ちなさい。そして身をかがめて 、まず、あなたがけがした大地に接吻なさい。》
清水正は、このソーニャの命令について、「ソーニャがこれほど毅然とした態度を取るのは、これが最初であり最後である」と書いている。
(続く)



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