哲学者=山崎行太郎のブログ『毒蛇山荘日記』

文芸評論家。哲学者。慶應義塾大学大学院(哲学)修了。東工大、埼玉大学教員を経て現職。著書=『小林秀雄とベルグソン』『小説三島由紀夫事件』『保守論壇亡国論』『ネット右翼亡国論 』『曽野綾子大批判 』『エセ保守が日本を滅ぼす 』『最高裁の罠 』など。『マルクスとエンゲルス』を「月刊日本」に連載中。近刊予定に『小説・南洲伝』『 小林秀雄とマルクス』『毒蛇山荘日記(1 ) 』など。

ソクラテス、プラトン、アリストテレスの接点。 ギリシャ哲学は、プラトンの書き残したテキスト 、いわゆる『 プラトン対話篇』によって知ることが出来る。ソクラテスは、対話や議論 、論争は繰り返した人だが、「書かない人」だった。われわれは、ソクラテスの哲学も人格も、『 プラトン対話篇』によってしか知ることは出来ない。それも、ソクラテスの哲学なのか 、プラトンの哲学なのか 、読み分けることは容易ではない。しかも、プラトンは、ソクラテスと違って「書く人」ではあったが、自分の哲学、いわゆるプラトニズムの理論を、明確

ソクラテスプラトンアリストテレスの接点。

ギリシャ哲学は、プラトンの書き残したテキスト 、いわゆる『 プラトン対話篇』によって知ることが出来る。ソクラテスは、対話や議論 、論争は繰り返した人だが、「書かない人」だった。われわれは、ソクラテスの哲学も人格も、『 プラトン対話篇』によってしか知ることは出来ない。それも、ソクラテスの哲学なのか 、プラトンの哲学なのか 、読み分けることは容易ではない。しかも、プラトンは、ソクラテスと違って「書く人」ではあったが、自分の哲学、いわゆるプラトニズムの理論を、明確に述べてはいない。要するに、プラトンは、ソクラテスという登場人物を中心に、ソクラテスの対話の相手たちの発言の裏に隠れて、つまり 、裏方に徹していて、テキストの表に姿を見せていない。では、プラトンの弟子、アリストテレスはどうか。実は、アリストテレスこそが、プラトンの哲学、いわゆるプラトン主義をまとめあげて、体系化している。要するに、アリストテレスこそが、現代まで、延々と続くことになる「プラトニズム」の生みの親である。プラトニズムというヨーロッパ哲学を長い間、支配し続けてきた哲学的観念論は、ソクラテスプラトンアリストテレスの三代を経て成立したといっていい。三代を経て成立した哲学的観念論は、あたかも、人類の思考の発展、進歩、前進の歴史のように見える。ソクラテスにおいては、街路や道端での議論や対話でしかなかったものが 、プラトンによって文章化され、書籍となり、やがて、三代目のアリストテレスによって、理論化され、体系化されて、一見、高級な、近寄り難い「教養」となる。ソクラテスの段階では、浮浪者たちがたむろするような場所での対話や議論、論争、喧嘩・・・だったものが、アリストテレスの段階では、一般市民や大衆の手の届かない、専門的な、高級な『学問』になる。これは、発展、進歩、前進なのか。それとも退歩 、後退、逃避なのか。明らかに、小林秀雄ベルグソンニーチェ等は、後退 、退歩、逃避と見ている。そこに、小林秀雄の「プラトン論」の本質がある。