哲学者=山崎行太郎のブログ『毒蛇山荘日記』

文芸評論家。哲学者。慶應義塾大学大学院(哲学)修了。東工大、埼玉大学教員を経て現職。著書=『小林秀雄とベルグソン』『小説三島由紀夫事件』『保守論壇亡国論』『ネット右翼亡国論 』『曽野綾子大批判 』『エセ保守が日本を滅ぼす 』『最高裁の罠 』など。『マルクスとエンゲルス』を「月刊日本」に連載中。近刊予定に『小説・南洲伝』『 小林秀雄とマルクス』『毒蛇山荘日記(1 ) 』など。

(学生必読) ■小林秀雄と宮本顕治。 小林秀雄と宮本顕治が、昭和4年、当時、もっとも権威ある総合雑誌だった「改造」が主催した「新人賞応募論文」で、一等を競い合い、ほぼ五分五分の評価を受け、一等と二等に別れたが、二人とも共に、文壇や論壇にデビューすることになった事件は、日本の近代文学史においてだけではなく、日本近代史全体にとっても 、極めて重要な大事件であった。

(学生必読)
小林秀雄宮本顕治

小林秀雄宮本顕治が、昭和4年、当時、もっとも権威ある総合雑誌だった「改造」が主催した「新人賞応募論文」で、一等を競い合い、ほぼ五分五分の評価を受け、一等と二等に別れたが、二人とも共に、文壇や論壇にデビューすることになった事件は、日本の近代文学史においてだけではなく、日本近代史全体にとっても 、極めて重要な大事件であった。後に、日本共産党委員長や議長、あるいは参議院議員として、左翼や左翼論壇の雄として活躍する宮本顕治が 、日本の近代批評の創設者と言われることになる小林秀雄と、若い日に、奇妙な接点を持ち 、微妙な因縁で結ばれているということは、やはり大事な歴史的記録と言わなければならないだろう。あまり多くを語らなかった二人だが、宮本顕治は、小林秀雄が死んだ時、コメント(談話)を残している。

朝日新聞昭和58年3月1日(夕刊)

「別々の道でも相交わる一点」 宮本顕治氏(75歳)の話

「改造」の懸賞論文に二人が入選したことなどから、何かにつけて並べて語られるが、小林氏と直接の面識はない。それというのも当時の入選者には、今日のような授賞式めいたものはなく、私は一人で出向き小さな応接室で懸賞金をもらったからだ。文学的デビューで私は社会主義の立場から、彼は近代個人主義の立場からの批評であって、文学的にも社会的にも別々の道を半世紀にわたって歩いたわけだ。戦後、鎌倉の今はなき正木千冬さんが革新市長に立候補したとき、共産党も推したが小林氏らも正木氏の後援会の一員として推していることが分かり、双方の人生に珍しく相交わる一点を感じて感慨があった。いずれにしても、因縁のある同時代人の訃報に接し、さびしい。》

宮本顕治の「さびしい」という言葉を、白々しいと受け止める人も少なくないだろうと思う。しかし、私は、他の誰の追悼文よりも、深く胸にしみる。朝日新聞記者は 、「改造」新人賞の時のエピソードを知っていて、宮本顕治に取材を申し込み、宮本顕治も快く取材に応じたのだろう。そして、宮本顕治も、記者の期待に応えて、静かな口調ながら、感動的なメッセージを残してくれたのだろう。言うまでもなく、小林秀雄の「文芸批評」は、マルクス主義共産党との対決の歴史であった。少なくとも、小林秀雄の前半は、あるいは戦時中は、マルクス主義共産党批判が、主なテーマだった。当然、宮本顕治も 、小林秀雄を煙たい存在と見ていただろう。しかし、宮本顕治は、それをお首にも出さず、淡々と、若き日の旧友の死を悼むように、「さびしい」と言っている。私は、宮本顕治という存在に、何の愛着も、好悪の感情もないが、宮本顕治小林秀雄追悼の言葉には、深く感動した。言い換えれば、ライバルであったはずの共産党議長をも巻き込むだけの深い「深淵」を抱えていたということだろう。要するに、文学や批評というものは、政治的党派性とは無縁であるばかりでなく、その党派性を超えて、深いところで 繋がっているのである。おそらく、立場が逆だったとしたら、小林秀雄も、同じようなコメント(談話)を残していただろう。(続く)



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